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増田 喜嘉(ますだ よしか)・チェロ


 

神戸市生まれ。5歳よりチェロを始める。12歳で渡豪以来、欧米を中心に活躍している国際派チェリスト。現在ロサンゼルスを拠点に演奏者・指導者として活躍し、近年は日本での演奏活動も広げている。

 

オールドバラ音楽祭(英国)、オタワ室内楽祭(カナダ)、イエロー・バーン音楽祭(米国)、ランデブー・デ・ラ・ミュージック音楽祭(韓国)などの音楽祭にて定期的に演奏し、室内楽奏者として世界的に信頼を置かれている。C・ガッド、B・ジュランナ、P・フランクル、R・タッピング、A・マルグリス、N・マン、G・ケリッシュ、P・ロチェック、D・ワイラーシュタインなどの著名奏者らと共演。ロサンゼルスでは室内楽グループSalastina LA、5台のチェロアンサンブルSAKURA、日本ではパトス四重奏団、神戸ピアノ三重奏団のチェリスト。2020~21年にはRolston Quartetのチェリストとしてヨーロッパとカナダツアーを行った。また現代音楽の世界初演も積極的に行っており、イェルグ・ヴィットマンや細川俊夫らの作品などをはじめ、数々のアメリカ初演を手掛けた。

これまで第11回ビバホールチェロコンクール第1位・夢但馬賞受賞、アメリカ全国ヤング・アーティストコンクール弦楽部門第1位、オーストラリア音楽協奏曲コンクール第1位、ヤマハ・ヨーロッパ音楽財団弦楽コンクール第1位等で優勝。フアレス響(メキシコ)、マンチェスター・ベートーヴェン管、シェフィールド室内管、ミルトン市管(英国)、北クィーンズランド響(豪州)、ウェストレイク・ヴィレッジ響、YMFデビュー・オーケストラ(米国)等と共演し、好評を博す。

​ロサンゼルスのダウンタウンにあるスキッドロウに特に集中しているホームレスや犯罪多発地区内で、人間同士の繋がりを育む音楽を利用する組織であるストリートシンフォニーとのコラボレーションを頻繁に行うことで、コミュニティとの関わりに尽力している。

シドニー音楽院付属中学・高校を経て、英国王立検定国際奨学生として英国王立ノーザン音楽院を首席卒業、同時に学長賞、レナード・ローズ・チェロ賞を受賞。米国・南カリフォルニア大学にて博士号を取得。これまでチェロを林良一、G・ペダソン、H・ロバーツ、R・キルシュバウムに、室内楽をA・テイト、P・フィッシャー、P・カッツ各氏に師事。またD・ゲリンガス、T・デメンガの指導を受けた。

指導者として次世代の育成にも情熱を持ち、教え子にはジュリアード音楽院、ニューイングランド音楽院などの主要音楽学校へ入学している。これまでに日本、台湾、メキシコ、米国各地でマスタークラスを務め、米国ではモンテシート音楽祭、ハートランド室内楽祭にて毎夏指導を行う。現在チャップマン大学・ホールムスコ音楽院・弦楽科長、助教授。

 

Official HP www.yoshicello.com

SELECT REVIEWS

 

「しっかりした技巧から紡ぎ出される深い音色で、この楽器が内に秘められる多様な表現可能性を開示した。本来クラリネットで演奏されるシューマン作品では木管の柔らかい肌触りだけでなく、奥深く誘導する音世界を構築。物語性の中に明るく上昇する希求と、暗い情熱に遮られて下降する悲嘆の__とがそれとなく描かれていた。ヒンデミットの「無伴奏ソナタ」が凄絶な彫像として示されたのも、あろ意味で色彩感に満ちた前曲の効果があったためと言えよう。芸術へのさまざまな主張が交わされていた1923年当時のドイツを彷彿とさせる曲想。モダニズムだけではなく、苦悩と希望が綯い交ぜに激しさを構成している。それを増田は内省的な音色で凝縮するように構成し、錯綜した世界を魅力的に提示した。ベートーヴェンのあの「ソナタ第3番」がそれに続いた。明るく愛らしい。その輝きを演奏者は躍動的に引き出した。深い音色がその煌めきに独特のアクセントをつける。それは同時に、その激しさの背後に横たわる19世紀初頭当時の社会の裂け目を暗示しているようでもあり、訴求力の強い演奏だった。

後半はブーランジェとパラディスの色彩感に満ちた、幻想的な世界を受けてのフランクの「ソナタ」。ヴァイオリンの原曲をチェロ曲に置き換えた演奏は数多くの思索のきっかけを聴衆に投げかけた。高弦の中に込められた深い思索の世界を、低弦の響きによってさらに深めることができるか。演奏者と聴衆の共同作業でそれを模索するような興味深い瞬間でもあった。伴奏ピアノの好演にも注目したい。」

嶋田邦雄、「音楽の友」2021年3月号

 

 

「堅実な技術とどんなスタイルの音楽も的確に表現できる知的で柔軟な音楽性の持ち主。同世代の最も優れたチェリストのひとりと言うにふさわしい」

 

高久暁(ショパン音楽誌)

 

「増田喜嘉氏の演奏から作曲家の意思をひたすらに追求する姿勢が伝わってきます」

 

五嶋みどり

 

「持って生まれた才能に加えての豊かな音楽性、そして幅広い知識に裏打ちされた将来有望な素晴らしいチェリスト」

 

堤剛

 

「チェロを抱き抱え、時折目を閉じながら耳を楽器に近づけて弾く様は、音の世界に没頭しているようで、楽器越しにその息遣いまで聴こえてくるようだった。「あれ程に感情が込められた演奏に接するのは強烈な体験だった。そこに居合わせた全員の心を捉え、チェロがまるで身体の一部だと錯覚するほどだった」と、聴衆もそう話していた。」

 

エコー誌

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